ISASメールマガジンを読んでいます。
今日配信の第053号では「イトカワ」が小さすぎて「はやぶさ」周回軌道に入れないので何を持って到着と呼んで良いのか難しいが、既にイオンエンジンは停止してハイパーゴリック系のモーターで移動しているので
8月28日の段階で起動計画上の到着はしているそうです。どうせこんなことは一般のマスコミでは取り上げられそうも無いので宣伝の為も兼ねてブログに書いてみました。興味があればぜひ
第053号をお読みください。
ちなみに
「はやぶさ」が撮影する「イトカワ」の写真も公開されています。横に長いジャガイモのような形状でほぼ12時間周期で横回転しているようです。これもちゃんと事前の調査で予想されていたそうです。凄いですね。
「はやぶさ」の今後の予定としては、9月中旬に「イトカワ」近傍へ静止。10月中旬にかけて角度を変えて観測をおこない、いよいよ11月にはターゲットマーカと小型探査ロボット「ミネルバ」を投下との事。そして12月上旬には「イトカワ」を離脱して再度イオンエンジンへの点火だそうです。2007年6月に地球に戻ってくる予定です。
最後に探査主任の川口教授が「はやぶさ」を打ち上げる時に言った言葉を、
宇宙作家クラブのニュース掲示板過去ログから。
「今回の探査機は大きく4つの新しい技術開発要素(イオンエンジンによる惑星間航行、重力が微少な小惑星への自立航法による接近、小惑星表面のサンプル採取、小型カプセルによるサンプル回収)があり、それらが時系列に直列にならんでいる。そのどれが成功しても大きな成果だ。だから成功かどうかについては、加点法で考えて欲しい。全体は500点で、打ち上げ後に3週間目にイオンエンジンが無事に稼働したならば、その時点で100点と考えて欲しい。」
つまり既に打上げ・イオンエンジン惑星間航行・自立航法による接近で
300点を達成しているという事です。ぜひ500点を期待したいです!
この3つの名前を見てピンときますのでしょうか。全て日本の宇宙開発に関連する名称です。が…どれも最後は残念な結果になりそうな。
まずは
HOPEは和製ミニスペースシャトルとしてNASDA/NALが開発をしていました。その前段階として、軌道再突入実験機(OREX)・極超音速飛行実験(HYFLEX)・小型自動着陸実験(ALFLEX)までは開発されましたが、H-2Aで打ち上げる最終段階のHOPE-Xで開発は2000年に凍結されてしまいました。今となっては有翼のこの機体では実現までに遠い道のりが待っていた事も判りますので、ある意味仕方が無かったのかもしれません。
次は
火星探査機PLANET-Bこと「のぞみ」です。こちらは旧ISASが打上げた科学探査機ですが、打上げ後にトラブルが続出して残念ながら火星近傍を通り抜けてしまい、火星探査としては失敗となってしまいました。これはもう松浦さんの
「恐るべき旅路——火星探査機「のぞみ」のたどった12年」を読む事をおすすめします。結果は失敗に終わったものの得られたノウハウも少なく無く、結果だけで世間に叩かれたのはちょっと残念でした。
そして最後がNASDAが開発した
ISSの日本モジュール「きぼう」です。物自体は既に出来上がっておりNASAに搬入もされていますが、スペースシャトルの事故以来いつ打ち上がるのかさえ判らない状況です。と言っていると遂に
NASAが更に縮小の発表を。なんと今後ISS用としてシャトルはもちろんその後継であるCEVも貨物型シャトルも使わないと言うのだ。え~すると「きぼう」の打上げはどうなるんでしょうか?(^^; 後は民間ロケットかロシアに頼る事になりそうですが「きぼう」程大きなモジュールの打上げは可能なんでしょうか。可能だとしてその料金はいかほどに… 無理… かなぁ… と言うか無理して上げても単体ではあまり意味が無いらしい。一番良い選択は撤退では無いでしょうか。ISSに関してはこれ以上頑張ってもお金が出て行くばかりのような気がします。
と言うことで日本の宇宙開発において「希望を託す」ようなネーミングはあまりゲンが良く無いようです。他にネーミングでゲンが良く無いのは「ADEOS」こと「みどり」もそうかも。そもそも「ADEOS」ってスペイン語で「さようなら」の意味ですから。最初の「みどり」が1996年打上げで翌97年に機能停止。再度挑戦した
「みどりII」も2002年打上げで翌03年に機能停止。2回目もあえて同じネーミングで挑戦した関係者の心意気は買いたいですが、失敗した時のダメージもより大きいですね(^^;
ネーミングでどうこうなるとかジンクスとかは科学的でも何でも無いですが今後は「いのり」とか「ねがい」とかはやめた方が良い気がする私は軟弱者?(^^;