2006-09-22

ASN1-BER/XML変換ツール LeAsn1Xml 公開  [by miyachi]

暗号/PKI関連で良く使われているASN.1のBER/DERバイナリと独自XML形式間を相互変換可能な、ASN1-BER/XML変換ツールLeAsn1Xmlを公開しました。

現在の開発中のプロジェクトに必要だったので開発したツールですが、何かの役に立てばと言うことで公開しました。本当は同時にソースも公開したかったのですが、公開するほど綺麗なソースになっていないし、その時間も無いのでソース公開は時期を見て行いたいと考えています。

オープンソース活動」のページからダウンロードとドキュメントへのリンクを張ってありますので、まずはそちらをご覧ください。

XMLの解析と生成にMSの .NET Framework を使っているので、.NET Framework が必須です。これは時間があれば移植性の高い他のXMLパーサーに置き換えたいところです。

何かコメントがあれば、本エントリのコメント欄に投稿ください。
2006-09-22 17:00:30 - miyachi - - [PKI/暗号] -

ロケット打ち上げ月間の最後を飾って…くれよ!  [by miyachi]

と言うことで久しぶりの宇宙開発ネタ。実は9月は世界中で打ち上げがあったのだ。

 9月 9日: NASA、スペースシャトル打ち上げ成功
 9月11日: H2A成功 情報収集衛星は3基 識別能力など課題に
 9月13日: 長征ロケットで自主開発の通信衛星打ち上げに成功
 9月18日: 初の女性宇宙旅行者が搭乗=ソユーズ打ち上げ-ロシア

とまあこんな具合で米露中日のフラグシップロケットが次々と打ちあがっていた。あと上がっていないのはヨーロッパ(ESA)くらいか。まあ中国はフラグシップのロケット(有人型の長征2系)では無く長征3Aなので大したことは無いのかもしれません。

それぞれについて、例えばスペースシャトルは謎の浮遊物体が発見されて帰還が遅れたり、ソユーズに関しては元ホリエモンのお仲間であった日本人実業家榎本大輔氏が医学検査で問題があり今回は宇宙に行けず米国人のアンサリさんが代わりに宇宙旅行に行ったり、H2Aは軍用の情報収集衛星だもんでJAXA定点観測カメラが発射台では無く横を向いて海岸を映していた(皆様はこちらの海岸の様子でもお楽しみ下さいとコメントでもあった方が良い感じだった(^^;)り、更に秘密にしたがっていた情報収集衛星の軌道もあっさりと海外では公開されていたり(だから無駄だって気付け(^^;;)、なかなかツッコミどころの多い打ち上げばかりでした(笑)

ISS(国際宇宙ステーション)ではアトランティスが運んだ太陽電池パネルで電力確保が倍になったかと思えば、酸素発生装置から水酸化カリウムが漏れ出しての異臭騒ぎとか、これまたツッコミどころ多数の状況でした。まあアトランティスも無事帰還したしどれも大事にはならずに良かったですね。さて閑話休題。実は明日の早朝に日本のロケットとしては純血種とも言えるM-V型の最後の打ち上げが迫っている。

 M5ロケット:「準備は万端」 23日午前打ち上げ、最終リハーサル
 観測衛星「ソーラーB」23日打ち上げ 鹿児島内之浦 太陽の謎に迫る

これまで1回しか失敗していないし、50年前のペンシルロケットから着実に進化して来た固体燃料ロケット(世界最高レベル)であるM-Vはこれで最後になる予定だ。廃止される理由を端的に言えば「JAXA統合の影響」であろう。宇宙作家クラブの掲示板の記事や、他にも毎日新聞の記事を読むとISAS関係者の無念が良く判る。

ここからは素人の推測ではあるが、ロケット打ち上げと言う手段確保が主目的となっている旧NASDA系のごり押しが通ってしまい、系列外のM-Vを廃止して旧NASDA系技術を盛り込んだ新ロケットに強引に移行しようとしているように見える。もちろんこれは予想されていたことではある。組織的に見てもJAXAは旧NASDA系の方が旧NAL/ISASと比較して強い立場にあるし、そもそもJAXAへの統合は無駄を省くことが目的であるのだから。世界的に見ても1国で全く別系列のロケットを2種類も保有しているのは米露を除けば日本くらいだ。それはお金がかかるかもしれないが本来はアドバンテージになるはずだと思うのだが、日本のお役所考えはそんな事は考えずに予算削減の為に無理やり統合されてしまう。個人的にはとても残念に思えてしまう。

JAXAの中でのISASと同じような位置にあるのが、NASAのJPLだ。ただしJPLは独自のロケットは保有せず、打ち上げは自由に国内外のものを利用している。ISASも同じようにやれば良いと言う人もいるだろうし、今後はそうせざるを得ないところはある。ただ個人的にはISASは手造りのように衛星/探査機本体とそれに合わせたロケットを同時開発していたから少ない予算でやれていたとも思える。更にM-Vの打ち上げ価格が高いと言うのであれば「M5は約100億円をかければ、1回の打ち上げコストを半額以下にできると試算していた。」と言う話もある。だいたいM-Vロケットはロケット自体の開発も含まないと予算が下りないので、これまでは毎回どこか新しい箇所を含まねばならない宿命もあった。これでは低価格化が難しいのも無理はなかった。おそらく的川教授の言う「あと100億かければ…」と言うのは製品としてのM-Vロケットの完成度を上げる為に必要な経費では無いかと推測している。

などなど言いたい事は多々あるが、残念ながら既にある程度は方向性は決まってしまっているのでしょう。現場の皆さんは与えられた範囲で最善を尽くしておられるでしょうし素人の私がどうのこうの言っても仕方が無いのかもしれません。でも書かずにはいられませんでした。

なので最後は前向きな内容で。今回のM-Vで打上げられるのは太陽観測衛星SOLAR-Bです。「ようこう」の後継衛星となる予定ですのでぜい打ち上げ成功して成果をどんどん出して欲しいものです。またくだん書房によると半年に一度買物をしてくれるお客様の衛星もピギーバックされて今回のM-Vで打ち上げられるそうです。そのお客様の衛星とは、

 HIT-SATプロジェクト(北海道キューブサット開発アマチュア無線クラブ )

とのこと。これまた無事成功を祈りましょう!更にJAXAのソーラー電力セイル実証超小型衛星SSSATもサブペイロードに搭載されるそうです。大学のCubeSatやこういう小型衛星がどんどん打ち上げるのは良いことですよね!明日の鹿児島方面は天気予報によると今のところ風は強そうですが天気自体は良さそうです。ああ…でも見に行きたかったなあ…(^o^;;
2006-09-22 09:17:04 - miyachi - - [宇宙開発] -