2005-10-17

雲のむこう、約束の場所  [by miyachi]

土曜日に「戦闘妖精 雪風」の最終巻を借りようとレンタルビデオ屋に行った。だがDVDは貸出中だしまだ1週間レンタルできないようだ。仕方が無いので他に見て無い物が無かったかなと探していて新海誠「雲のむこう、約束の場所」を借りたので感想でも。これってCG/MACカテゴリーと言うよりも既にアニメカテゴリーか(笑)まあ細かい事は無しって事で!

まずこの作品は相変わらず色彩が美しい。それに加えて細部まで手を抜かずハイビジョンかと思わせる程に美しく仕上がっている。と言うことで内容云々よりもまずその「美しさ」は議論の余地無く個人的に認めるところだ。宮崎駿作品も映像が美しいがもっと人工的とも思えるくらいにシャープな印象の色彩と、押井守作品にも少し共通点があるような日常の風景に美しさを見出しす感性が、ミックスしているようにも感じる。その意味では凄く私好みの映像だ。この部分だけでもDVDが欲しいと思ってしまう。

ただ惜しいのはストーリーと言うか脚本が少し映像に比べると物足りない感がある。前作の「ほしのこえ」と違って1時間30分を越える長編なのだがこのストーリーでは少し最初退屈してしまう。途中で幾つか盛り上がるポイントが欲しいところではある。ただ伏線とかがあって何度か見ると良さが染みてくる作品ではあるだろう。SF的なポイントとしての「塔」とメカ的な自作飛行機「ヴェラシーラ」と学園物として3人の同級生の話が絡み合う。それぞれの要素のポイントは高いが素材としては生かしきれていないようにも思う。

特に3人の関係、その中でも男2人のヒロキとタクヤのキャラ付けと言うか違いがもう少しあっても良い気がした。3人の関係は正三角形では無いし二等辺三角形でも無いと思う。それぞれの立場での葛藤とぶつけ合いが欲しかった気がする。ただ学園物としての胸がしめつけられるような学生時代への憧れ心は良く出ていたようにも思う。こういうのって学校を卒業してから長い時間が経っている方が強いと思うが、逆に現役の学生なんかだとどう感じるのかなあ…

と言う事で結論としては個人的には気に入っているが誰でも気に入るとは限らない作品だろうなと思う。個人的にはDVDを買おうかと言う気になってます。

さて前作の「ほしのこえ」では新海誠が1人で作成した作品と言う事で注目を集めた。今回はプロとしての長編だから当然スタッフを沢山使っている。これをして批判するような声が2chなんかにはあったが、これは筋違いだろう。1時間を超える作品を1人で作っていたらレベルが下がるか10年くらい時間がかかるかのどちらかだろう。成功して予算が獲得できたなら自分がやりたい部分に専念すべきだろう。多人数での制作の問題は自分のクオリティがそれでも保てるかどうかだと思うが、逆にこの作品ではクオリティとしては上がっていると思えるし、新海誠らしさは出ているからOKでしょう。あとは脚本とかストーリー的な面でもう一段の飛躍を期待して次回作を楽しみに待ちましょう。

さてついでに雪風つながりで「戦闘妖精少女 たすけてメイヴちゃん」も借りた。借りるんじゃ無かった…orz 山下いくとの描いたメイヴちゃんを見て山下いくとファンとしては借りてみたが、どちらかと言えば「萌え」の世界の作品だった。あぁやはり雪風の最終巻を早くみたいのであった。
2005-10-17 12:56:41 - miyachi - - [CG/MAC] -

キューブサット物語  [by miyachi]

「キューブサット物語」を読了したので感想でも。この本は東大と東工大の研究室の学生が本当に衛星軌道にのる小さな衛星を作り上げて運用するまでのお話。以前に読了した「上がれ! 空き缶衛星」の続編にもなる。

空き缶衛星ことCanSatは衛星の仕組みを学ぶ為に空き缶サイズの衛星(厳密には衛星では無いが機能は同じ)をアマチュアのモデルロケットに搭載して打ち上げるものだった。最近では北海道のCAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケットでもCanSatの打ち上げは行われているらしい。

今回はその上のクラスとして10cm四方で1KgのCubeSat(キューブサット)を開発して本当に宇宙に打ち上げてしまおうと言うプロジェクトの記録だ。難易度はCanSatの比では無いはずだし、打ち上げロケットをめぐって二転三転する様子はとても大変そう。でも学生達の熱意が良く伝わってきた。心底羨ましい(笑) 「上がれ! 空き缶衛星」では読後に物足りなさを少し感じたが今回の「キューブサット物語」は打ち上げまでじっくりと書き込まれていて結構読み応えもあった。

と言う事で感想と言っても実はCanSatと同じで生き生きとした学生達の苦悩と熱意を追体験できる点では全く同じ。エンジニアなら誰でも読み終わるとなんだかやる気が出てくる本である。彼らのプロジェクトに比べればささやかだし注目をあびないがうちにもプロジェクトはある。私はプログラマだから物作りと言ってもソフト開発になるが、今開発しているソフトを無事に世に出してやりたいと考えている。その為のやる気をこの本の学生の皆さんから少し貰って私も頑張りましょう!と言う事でエンジニアの皆さんには良書だと思います。ぜひ!

[2005-10-31追記]
松浦さんのブログ「東大Cubesat XI-V成功の場に立ち会う」で読み終わったらカバーを外してみましょうと書いてあった。早速外してみると…おお!これは良いアイデアだ。ふ~んなるほど。と言う訳で書籍お持ちの皆さんはカバーを外してみましょう!なお上記ブログは2機目の打ち上げ時の状況が分かるのでこの本を読み終わった人はぜひご覧ください!
2005-10-17 12:21:52 - miyachi - - [宇宙開発] -