2006-01-17

JAXA産学官連携シンポジウム-宇宙ビジネスの未来、新たな提言  [by miyachi]

六本木ヒルズ49Fにて募集500名のところ800名の申込みがあったとの事。満席状態で立ち見の方もちらほらといる状態で開始。TVカメラも5台入っているがこちらに関しては後述。JAXA理事長と産学官連携部長の挨拶の後に最初のパネルディスカッションはモデレーターがホリエモンこと堀江貴文、ゲストが若田宇宙飛行士、パネラーは広島工大教授の管氏と松下電工でLED開発をしている千代氏それにサカセ・アドテックと言う宇宙用織物を開発している酒井氏。の予定だったがホリエモンは昨日の今日なので事情により欠席(笑)急遽本来パネラーの一人であったJAXAの三輪田氏がモデレーターとして開始された。

TVカメラはどれもホリエモン狙いだったのだろう。TV東京が一番やる気無くおざなりに会場と撮影した後でとっとと途中退場。でもまあ正直でよろしい(^^; 次にやる気が無かったのはフジTV。こちらも多少は撮影していたものの、途中から配布資料のホリエモン紹介ページをアシスタントが開いてそれを撮影した後で途中退場。日テレは途中から参加して退場したフジTVの位置から最後まで一応撮影していた。TBSともう1社(状況から見てテレ朝?)は一応最初から撮影していたが最初のパネルディスカッションが終わったところで全TVカメラは退場(笑)画像が退場をはじめたTVカメラ陣。ホリエモンが出なくて残念でしたねえ。私的には大して残念でも無かったですが(^_-)

以後長くなるので興味のある方のみどうぞ。

パネルディスカッションの方は全然ディスカッションになっていない。各パネラーが自分達の事を説明した後で若田宇宙飛行士がコメントを付ける程度であまり面白く無い。もちろん各パネラーの話。例えば松下電工のLEDでISSなんかの照明(現在は蛍光灯)の置き換えや宇宙農耕への応用は興味深い。サカセ・アドテックの話が一番面白い。元々は普通の織物メーカーだったのが90年代にNASAなんかの海外企業と宇宙用に織物や折紙の技術を使った宇宙構造物素材を開発しはじめ、最近になってJAXAとも色々始まったとの事。20数名の小さな会社らしいのですが独自技術を持ち、これが宇宙ベンチャーの手本とも言えそうだ。ホリエモンがいたらもっと面白い話になったのかもしれないが、予定時間を大幅に残して最初のパネルディスカッションは終了。

JAXAの産学官連携部は宇宙オープンラボの話が中心。と言うかそれが目的なシンポジウムなのですが。H16年から開始して既に24テーマが採択され500~3000万円で最長3年で研究開発をするユニットを支援するとの事。既存テーマではCubeSatやメガスター関連のものもある。今日から投資家も登録してもらいこれらユニットへの投資や指導を始めるとの事で自画自賛状態。でもそんなに簡単には行かないと思いますが… 投資会社なんかだと自分で調査して投資もしてくれるとは思いますが、投資家へのプレゼン資料であったりビジネスプランだったりと言う辺りが日本の場合は一番欠けているところのように思えるからだ。起業に関してスキルもノウハウも持つ海外ベンチャーに比較すると足りないのでこれをどうするのか。と言う辺りも考えて欲しい。

その後は新たなビジネスの潮流と言う事で、最初はNTTレゾナントがgooを中心とした説明。IT業界の私にはAjaxの話なんかは今更と言う感じ。ただALOS(だいち)でもgooが絡んでいるしJAXAとは今後も連携しそうですね。2番目は三菱電機が3Dマップデータを使った防災ソリューションの話。人・車・航空機・衛星の各データの統合によりデモはリアルな3D地形データが印象的。こういうデータが使えると災害時はもちろん平時でも色々出来そうだが、データの著作権辺りが気になるところか。

休憩は挟んで3番目がJR北海道。GPSとの連携による話が主で有名なDMV(デュアルモードヴィークル)の話等。まあGPS利用くらいしか話は無いか。4番目は浜松商工会議所により浜松からCADなんかを使った産業振興の説明。最近は九州でも四国でも北海道でも人工衛星を作ろうとしているし、まいど衛星の東大阪市だったりと地方での宇宙ベンチャー的動きが増えたように思える。宇宙開発に関しては東京にある必要性はそれ程必要無いのかもしれないので自然な流れなのだろうか。4つの中では三菱電機の話が一番興味深い内容でした。

最後に2回目のパネルディスカッション。ゲストはまた若田飛行士で、モデレーターはJAXA理事の樋口氏。パネラーは同志社大教授の村山氏、インスティチュート・オブ・マーケティング・アーキテクチャ社と言う長い名前の会社の水野氏、元MSの成毛氏、北野共生システムプロジェクトの北野氏の4人。水野氏は米国の有名な企業家投資家(ネスケ起業者とかバージン会長とか)なんかと友達だとか言う自慢が少し鼻についた。成毛氏はキャピタル的立場からとビルゲイツやポールアレンの話。成毛氏はさすがに話が上手い。北野氏はなぜ日本の打ち上げインフラに縛られるのか等で結構うなずける話だし「Google Earth」の紹介等。北野氏はロボット特にヒューマノイドタイプで…と言う辺りは少しズレを感じる。アシモとアポロ月面画像を合成していたがアシモは宇宙服に似ているのでつまらないと言う事で次の合成画像は○ラエモン…笑いを取るのが上手いな(^^; 北野氏はアイデアマンとしてはやはり能力がある。成毛氏も北野氏も内容もあるが見せ方やプレゼンが上手い。さすがIT系。彼らの意見としてはやはり「遊び」のエッセンスが無いと駄目なのではとの提言も。

そして私的に今日最大の収穫は実は村山氏から説明があったJAXAブレーンチームからの提言(3月に資料にまとまるらしい)のまとめ的な内容。簡単にまとめると現状認識は「光はさし始めたが、依然として極めて厳しい」である。マイナス面は市場規模が小さい・政府予算依存・コスト高・宇宙戦略の欠如があげられている。光はJAXA長期ビジョンが示されたことやH2A成功やはやぶさ効果等。長期ビジョンは?だが他はまあ納得できるかも。政府・JAXA・宇宙産業による宇宙村と宇宙旅行・子供の夢・IT経営者による宇宙への関心の高まりとの間に壁があるとの指摘。注目トレンドは「民主導の宇宙利用の始まり」でありパソコンのように「宇宙のダウンサイジング」がおきるのかとの見方も正しい気がした。JAXAも少しは変わって行くかもしれないとの予感は感じた。まあ裏切られるのかもしれませんが(笑)

結局宇宙ベンチャーを起業するには海外企業とも連携が必要になるだろう。その為にはビジョンを持ち海外企業とも渡り合える熱意ある起業家の育成をどうするのかと言う点が最も重要になるだろう。ただこれは育成しようと思って出来ると言うものでも無い。IT系だとだいぶ起業関連のノウハウを持つ人材も出てきているように思えるのでこの辺りからの参入を容易にする仕組みがあれば良いのかもしれないと思う。いやうちの会社も参入しようなんて…思わなくは無いがビジョンが持てない(笑)結局ただのソフト屋だし(^^;

いずれにせよ宇宙開発も何かが変化しつつある、またはターニングポイントを迎えつつあるようには感じた。良い方向に向かいつつあるのだろうか。実は数年後には結果が出そうな気がします。期待して見守りたいです。最後にアンケートの粗品は白色LEDによるキーホルダー型ライト。単なるライトかと思ったら照射するとJAXAのロゴが。結構自己主張が激しいライトでした(笑)
2006-01-17 23:37:40 - miyachi - [宇宙開発] -

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